漢方医による コラム2
東洋医学と西洋医学の併用


No.2 東洋医学・西洋医学の併用

波クリニックの診療方針

このコラムでは波クリニックの診療方針や何故そのような方法をとるのかということを、お話しようと思います。前回よりも詳しいことをお話しするため、婦人科をとりあげて具体的にお話しましょう。

東洋医学と西洋医学の違い -病因についての考え方-

今回は婦人科の話をしますが、その前に東洋医学と西洋医学の違いについて少しだけ触れておきましょう。 基本的には東洋医学も西洋医学も同じ医学でありながら、それぞれに観る角度が違うということが「違い」だといえます。病気の原因、つまり「病因についての考え方」が違います。

細菌感染症を例にとると、西洋医学では「病因は特定される細菌」です。対して東洋医学では「充分な健康さがあれば生体は感染した細菌を排斥・撃退できる」のだから感染した細菌を排斥できない「生体の弱さが病因」であると考えます。 実際、治療の現場においてはこの両面を取り入れることが合理的だと考えています。

例えば生理痛の病因は

ではここで婦人科疾患の生理痛について例をとりましょう。生理痛にはいろいろありますが、軽いものは子宮の狭心症という考え方ができます。つまり生理の前に子宮が鬱血したり出血したりして子宮が「貧血状態」になり血行状態が悪くなった結果、子宮の筋肉が収縮して痛む、ということです。このような状態は軽いものです。

波クリニックで行う、生理痛の治療

しかし中には子宮内膜症などの見逃せない病気が隠れていることを考えておかなくてはなりません。もしそのような重大な病気が見つかった場合には「子宮が健康に働く状態を取り戻す、またはつくって行く」という治療を行います。 実際には「機能最適化」(漢方で言う)を行うということです。つまり子宮卵巣の潜在的なむくみがあればそれをとり除き、冷えていれば暖める、熱を持っていれば冷やす、などの治療を行います。 重要な事は、このような治療にはホルモン剤で生理をストップさせるという方法を採らないということです。 その結果、子宮内膜症による痛みが軽減して行き、同時に内膜症自体も治って行くいうというやり方です。このようなやり方は、例えば生理不順など若い女性に多い多嚢胞性卵巣症候群などにもかなり有効です。

このように漢方では子宮卵巣の働きや下腹部の働きを回復させることによって女性としての健康さをつくって行くことを行います。そしてこのような治療法では高い確率で実績をあげています。それでも回復が思わしくないという方には、当院では鍼治療も併用して効果をあげています。

漢方が目指す、子宮卵巣の回復

子宮卵巣の働きをちゃんと働かせてあげればおおかたの疾患は回復するし、また女性としての元来の健康さを取り戻すということになります。 このようにホルモン剤を使わずに回復させることが、副作用を防ぐという効果もあります。

漢方は、その人の全体のありさまを観る

冒頭でお話ししたように、漢方ではその人の全体のありさまを観てどのような障害が起こっているかを判断し回復へ向けて治療を行うので、さまざまな症状を訴える患者さんがみえます。ですから当院では総合医療としての医療を行っているのです。

今日はこのくらいにして、続きは波クリニックにてどうぞ。