漢方医の コラム1
東洋医学が目指す健康


No.1 その人にとって最も良い健康ということ

波クリニックの診療方針

このコラムでは波クリニックの診療方針や何故そのような方法をとるのかということを、様々な角度からお話をしようと思います。今回はまずおおまかなお話から始めたいと思います。そして次回より詳しいことをお話ししようと思います。

健康とは何か? -時代とともに変化してきた「健康」の定義-

健康、という言葉は誰でも日常の中で容易に口にする言葉ですが、ではいったい「健康とは何か」とじっくり考えたことはありますか?

実は「健康」にたいする定義は時代とともに変化してきています。例えばアメリカでは1970年代の頃は検査をしてひっかからなければ「Health」だとされていました。しかし実際には検査にひっかからなくても健康がすぐれないということは多くあるものです。そこで80年代に「Wellness」という考え方が出てきました。それは「悪い健康状態」から「善い健康状態」という連続した段階があるということです。健康ということを相対的に考える時代になったのです。

さらに90年代になると「Optical Health」という考え方に変わってきました。「その人にとっての最も善い健康状態」という概念です。人はそれぞれに個性を持ち性格も顔もみな違うように、健康においてもその人にとってどのような状態が最も善い健康状態なのかがそれぞれだ、という考え方です。

東洋医学が目指す「健康」

「病気」というのは突然おこるものではなく、不健康な状態が昂じて病気という状態になります。ですから不健康状態を是正すれば病気が回復するという疾病観で、東洋医学では闘病というより「回復」ということを目的としています。

東洋医学が診断する「不健康な状態」、本来の治療とは

皆さんは何らかの「症状」があるとそれを治すために病院に行きますね。肝心なのは「症状」とは不健康の結果に過ぎないということです。今感じている症状は氷山の一角に過ぎず、水面下では不健康な状態がすすんでいるということです。ですからその症状を抑えるのではなく原因となっている不健康な状態を是正することが本来の治療の目的です。例えば頭痛があるから頭痛薬を飲んだら、頭痛はいったん無くなりました。しかし頭痛の原因になっている不健康の状態は依然として是正されていないので、後日には症状が姿を変えて別の場所に別の症状として現れてしまう、ということです。それではたんに症状を抑えただけのことですね。

そうではなく、まず、その患者さんがどういう状態にあるかということを「診断」します。様々な方面から、様々な方法で、診断します。必要であれば絞り込んだ検査を詳しく行います。そうやって患者さんがいったいどういう状態にあるかをみて、判断を下します。診断と判断を連続的に繰り返すことによって、その患者さんの不健康な状態を健康に回復して行くのです。

東洋医学と西洋医学の違いとは?

今回はこのくらいにして、次回は東洋医学と西洋医学の違いなどのお話を交えながら、何か具体的なことをお話しして行こうと思います。

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院長のコラム2